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●日本の物理学はすごいらしい
――熱心な浄土真宗の家庭で育たれたとか。
松田 両親ともに教育者でしたが、年に数回は広島からお寺さんをお迎えして会座(法座)を開くような家でした。父の姉は親鸞聖人のおみ法を建学の精神にした作陽学園を創設し、会座では教職員や家に下宿していた苦学生が一緒に聴聞していました。母方の祖父も門徒総代で家には大きなお仏壇……確かにお念仏の文化の中で育ちましたね。
私はいたずら小僧で昆虫採集に夢中になったり、アフリカ探検の本を読んでワクワクしていた。生物学者になるのが夢でした。
――物理学に進んだきっかけは。
松田 高校時代の生物クラブで動物の解剖にショックを受けて、生物学者はあきらめました(笑)。私が10歳の時に湯川秀樹先生がノーベル物理学賞を受賞されて、日本の物理学はすごいらしいということで理学部に進学することにしましたが、作陽学園の数学か物理の先生になろうという軽い気持ちでした。私の入学当時の広島大学理学部にはノーベル賞候補の先生が2人もおられ、すごいな、おもしろい世界だなとだんだん興味が深まっていきました。
――ご専門の素粒子物理学とは。
松田 私たちの体や物質を構成するのが分子や原子。分子や原子の小さな世界を構成するのが素粒子です。さらに素粒子の中の基本素粒子を探す研究に携わったのですが、後年、ビッグバン宇宙は素粒子の相互作用によるものだという理論につながりました。
巨大なドーナツ状のシンクロトロン加速器による陽子・陽子衝突実験で得られたデータをひたすら解析する。なかなか大変なつらい研究でした。20代半ばで研究を始めて、どうやらビッグバンが見えているようだというところまできたのが40代半ば。先輩方の研究を引き継ぐという財産をいただいたおかげです。
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